小学校生活と中学校生活を比べると異なるシステムであることが多く、それに戸惑う子ども達も少なくありません。

目次

みなさんこんにちは😊どんきー先生です🦍

今回は中1ギャップによる不登校からの復学事例をご紹介します。

「子どもの性格傾向」「家庭の問題点」「学校を休み始めてからの子の問題行動」などから復学支援カウンセラーという立場から分析をし、復学までどの様なプロセスで対応していったのかかいつまんでお話します。

決してすべてのケースに当てはまるわけではありませんが、この記事を読んでいただいた方にとって何かのヒントとなれば幸いです。

中学1年生 男子の不登校のケース

彼は中学生になり、最初の4日だけ行ったのちに完全に不登校になりました。

小さいころから人見知りが強く、初めて行く場所には行きたがらないところもあり、幼稚園では登園渋り、小学校では母子登校、登校渋りがありました。

今回彼が不登校になった理由を彼は親には具体的に言いませんでした。

ただ、親御さんが思う理由として上記のような性格もあり、複数の小学校から生徒が来ること、先生や学校の雰囲気など、小学校とは環境が大きく変わり、その環境になじめずに不登校になってしまったのではないかと推測されていました。

私の分析としても親御さんの意見と同じ結果になりました。
いわゆる「中1ギャップ」による不登校と判断。

一般的に小学生から中学生になることで新しい環境になじめずに不登校やひきこもりになってしまうケースが多く見受けられていることから、その現象を指す言葉として「中1ギャップ」と言われています。

復学支援カウンセラーが分析した結果

子どもの性格傾向

このケースの不登校は、彼の「育ってきた環境」によってもたらされた「本人の性格傾向に起因する問題」によって引き起こされたものだと分析できました。

その本人の性格傾向として…

🔷すぐにやる気を失くす(諦めが早すぎる)

🔷我慢力が低い(思い通りにいかないとキレる)

🔷自分で考えて答えを出せない(どうしたらいい?と親に答えが出るまでしつこく聞く)

🔷人見知りが強く親以外の人に頼ることが出来ない

という点が見えました。

上記では「育ってきた環境」と表現しましたが、大部分を占めたものとしては家庭教育による影響が大きいということが見受けられました。

家庭の問題点

家庭教育における問題点として…

🔶親が子のことで心配性

🔶子の行動を管理しようとしがち

🔶母親の立場が強過ぎる(父性の立場が作れていない)

という点が見えてきました。

子どものことが心配過ぎて、「宿題はできてるの?」「手洗いうがいはした?」という発言も多く、過干渉対応になっていました。

また、親御さんからすると私が動いた方が早いというお気持ちもあったようで、息子さんが動き出す前にやること等は逐一確認や指示があったようです。

お父さんが仕事で帰宅が遅いというのもあり、息子さんに対して叱る対応などもすべてお母さんが担っておられました。

お母さん自身もおっしゃっていましたが、お母さん側の負担が非常に大きくなっている状態で、冷静に対応したいと思っていても常にそれができる余裕がなかったとも話されていました。

学校を休み始めてからの子の問題行動

さらに復学を目指すにあたり、彼が「不登校になってから起こってしまった問題」が見えてきました。

例えば…

✅学校を休み始めてすぐに「生きていたくない」とベランダへ出ていこうとする(家は高層にある)

✅イライラすると物にあたり壊す

✅弟への暴力が酷くなったり、弟の大切にしている者を壊したり、嫌がらせが強く出る

✅学校を休んでいる間にもらった学校のプリントをすべて破り捨てる

といった問題行動が出てきていたのです。

上記に挙げたような「子どもの性格傾向」「家庭の問題点」「学校を休み始めてからの子の問題行動」をまずは家庭内の対応において変えていけるところは変えていくという間接的な支援からスタートしていきました。

家庭のシステム構築

このご家庭は、家庭の問題点を紐解いていくとお母さんの立場が高く、お父さんの立場が低くなってしまっていました。
つまり、お母さんが強く出過ぎてお父さんの役割まで担ってしまっていたので、お父さんが家庭教育に関わることができていない状態だったのです。
まずは、家庭内において父性と母性のバランス調整から始めていきました。

まず、お母さんの立場をお父さんよりも子どもに近い立場になるような対応を心がけていただき、お父さんには家庭教育に参加していただきやすいシステムを家庭内で構築していきました。

具体的な家庭内対応

🟦なるべく子どもに話を聴く姿勢を見せる(アクティブリスニング)

🟦今までなら叱るようなことでもなるべく叱らずお母さんの気持ちを伝える(アイメッセージ)

🟦それでも叱らねばならないような状況になった場合はお父さんが叱る(父性対応)

それ以外にも細かい対応はありますが、このケースでは主にこのような対応を意識していただきました😄

そうすることで、家庭内における母親と父親の立場が明確になっていきました。
今まで子どもが何か言うと親からは注意することばかりだったため、彼はお母さんに対して発信してくる機会が少なかったのです。
対応を変えていただくことで、子どもから母親に対しての発信が増えていきました。
結果、ずっとイライラしていた子どもが落ち着いてくるという効果も見え始めました。 
お母さんが話を聴いてくれることで「イライラする前にお母さんに話をして自分を落ち着かせていく」ことができるようになったのだろうと思います。

このように家庭のシステムとしてはこのように構築することができましたが、それが「登校」という形にまでは結びついていきませんでした・・・💦

ダイレクトアプローチ

学校を長く休んでしまったことによって起こる問題

「登校」という形に結びつかなかった点から、彼の中で「学校を長く休んでしまったことで起こった問題」が気になっている可能性が考えられました。

その問題とは・・・

✅休んでいた間の勉強が分からない

✅休んでいることについてクラスメイトからどう思われているか不安

✅今更クラスに入って馴染めるか

✅自分の席や今授業で何をしているのかなど学校内の詳細が分からない

などなど、おそらく数えあげればキリがないほどの問題を抱えてしまっていただろうと思われます。

ここまでの問題を抱えてしまっては1人だけではなかなか動き出せません。
再び登校する「きっかけ」もつかめないのだろうと思われました。

ですので、この「きっかけ」の部分を与えるために親御さんと連日相談をしていくことに。
結果、「ダイレクトアプローチ」を行うことを決めました。

ダイレクトアプローチとは

ダイレクトアプローチとは訪問カウンセラーがお家に伺い、子どもに対して直接アプローチしていき、結果復学に向けてサポートしていく手法です。
彼のケースでは、スクールカウンセラーとの面談や別室登校も全て拒否しているという実績もあったので、子どもが相談する場所に出向く手段ではなく、直接家に第三者が入る手段を取ることに。


このケースでは不登校中に子ども自身が家庭内で問題行動が見られ、その行動が学校に行っている時にはほとんど見られませんでした。となると、学校に行けないことでストレスになりこういった行動を起こしていたという分析ができました。
そのためには早期の教室復帰を目指した方がこの子のためだという結論に至りました。
ですので、私たちは直接的に子どもを支え、支援してあげる手法であるダイレクトアプローチという手法をとることになりました。

子どもと初めて会う日

ダイレクトアプローチに入る日がいよいよやってきました❗

まずは「彼と会ってまともに話ができるのか?」というところが懸念材料でした。
というのも、前述しましたが彼はスクールカウンセラーに会うことや別室登校を拒否している経緯があるからです。
また、学校に行かなくなってから学校の先生に会うことも拒否をしていること、友達にも会えておらず、親以外の人間とはまともに会話をしていないという状況だったからです。

その部分を最大限考慮して慎重に対応を組んでいきました。

私たちがお家に伺ったとき、彼はおどろいた表情を見せました。
それでも、こちらの話にはしっかりと耳を貸してくれました。

こちらの質問にも声は小さいながらも答えは返してくれていましたので、対応前の懸念材料はクリアできました。

そこからは、「どうして学校を休んでしまったのか?」という彼にとっては話しにくいだろうと思われる部分を聞いていきました。

すると、彼は素直にその理由を話してくれました。

理由は一つでした。

子ども
中学にいったら知らない子たちがたくさんいて なじめる気がしなくて学校が怖くなった


これは事前に親御さんから聞いていた話とも一致しました。

そこを話してくれたので、次は彼に学校に行く意志があるのかを尋ねました。

すると、彼は

子ども
学校に行きたい・・・。
でも・・・、やっぱり怖い。

と涙を浮かべながら話してくれました。

子どもとの会話の中からカウンセラーの分析から復学に向けてのサポート

彼にとって学校に通うということが相当怖いものになっているのだという確信を私が得た発言でした。

それもそのはずです。彼は中学校にたった4日しか行けず長い不登校期間を過ごしてしまったわけですから。
このように長く休んでしまったことで学校についてわからないことが増えてしまい、それが原因となり「学校が怖い」となってしまうケースは少なくありません。

この発言を受けて、以上のような分析ができたので、私からは「学校を長く休んだことでわからないことだらけになってしまったのではないか?」と彼に聞いてみました。

すると、彼は「そうです。勉強もわからないし、友達ができるかもわからない。先生が受け入れてくれるかもわからない。それが怖い」と言ってくれました。
ここまで話ができるということは彼自身、ここに至るまで自分であれこれ考えていたんだと思います。

この時点で彼が再び学校に戻るにはこの不安をなんとかしてやらないといけない。
それを一人で考えてきたもののどうにもできずに今の状況になっている。
…となると、彼を側で支えてやり、具体的にどうすれば学校に戻れるのかを示してやる必要もある。
そこを包括的にサポートしていく必要がある。
そう私は判断しました。

そこからは、「彼とどうすれば学校に行けるか」という具体的なところを話し合っていきました。その話し合いの場でも彼はしっかりと話すことができました。
最初に危惧していた「話せないかも」というところは取り越し苦労で終わってくれました。

最後に家庭内のことについてもご両親も含めて話し合いをし、今までやってしまっていた行動を彼は反省し、ご両親も彼の気持ちに理解を示していただき、これから彼が学校に戻るために頑張っていくということで一旦水に流し、家族みんなで前を向いて学校に戻る準備をするということで一致団結できました。(後日、弟にも謝っていたそうです)

そして、この私が彼に初めて会った日から約一ヶ月かけてしっかりと学校に戻る準備を進めていくことができました。

彼の中で一番大きな問題となっていた「学校を休んだからこそ起こった問題」についてもカウンセラーが二人三脚で彼に寄り添いサポートしてやることで不安を取り除いてやることができました。
準備中は家の中でもほぼ問題なく過ごすことができました。

復学日当日

そして、復学日を迎えました。

復学日の朝、私は彼に再び会いました。
緊張はしていましたが、覚悟を決めたいい顔をしていました😊

彼は久しぶりに「いってきます」と親御さんに言い、家を出ることができました✨

この日から彼は病欠を1日しただけで約半年ほど継続登校を頑張っています。
継続登校のステージに入ってからは彼の問題だと思われていた行動は落ち着き、今ではほとんど見られません。(たまに弟にちょっかい出しているようですが・・。それも兄弟の小競り合いの範疇で収まっているようです。)
一度、クラスメイトとトラブルがあったようですが、親御さんが上手に彼の話を聴いてやり、しっかりと相談にのってやることで、そのトラブルにも対処することができ、それが原因で学校を休むことはありませんでした。

この成果は親御さんが子の話をしっかり聴いてやるというスキルが上がったこととドーンと構えて落ち着いて対応することができたこと。子ども自身が以前のように学校を休むという選択肢を取らずに、学校に行きながら自分が学校に行き続けるためにはどうしたらいいかを考えられたことがこの約半年の継続登校に繋がったのだと思います。

この春からは新学年を迎えますが、親御さんの学ぶ姿勢と子の頑張りがあれば、新学年という大きい環境変化もおそらく乗り切ってくれるだろうと思います。