
不登校の中学3年生の進路|高校進学はどうする?出席日数・内申点の不安と選び方

執筆者:佐々木 信恵(ペアレンツキャンプ 主任カウンセラー)
2学期も半ばを過ぎ、周りのお子さんが高校受験や進路の話をし始める頃。「うちの子は学校に行けていないのに、進路はどうなるのだろう……」と不安で胸がいっぱいになっていませんか。
中学3年生は、高校受験や進路選択が現実的になる時期です。不登校が続いていると、出席日数や内申点、調査書が気になり、「このままでは高校に進学できないのでは」と心配になる保護者の方も多いでしょう。
しかし、不登校の中学3年生にも、高校進学の道はあります。
全日制高校だけでなく、定時制高校、通信制高校、高等専修学校、通信制高校とサポート校の併用など、学び方は多様になっています。
また、高校入試では都道府県や学校によって選考方法が異なり、学力検査・面接・作文・調査書などを総合して選考する学校や、不登校経験のある生徒に配慮した選抜を行う例もあります。
大切なのは、周りのお子さんと同じ形で進学することだけを目標にするのではなく、お子さんが安心して次の一歩を踏み出せる道を探すことです。
この記事では、不登校の中学3年生が選べる主な進路、出席日数・内申点・調査書への不安、高校受験で確認したいポイント、そして焦らず進路を選ぶための考え方を紹介します。
• 不登校の中学3年生でも高校進学できるのか
• 全日制・定時制・通信制高校、高等専修学校など主な進路の違い
• 出席日数・内申点・調査書が高校受験にどう関係するか
• 自己申告書や不登校生徒への配慮・特別選抜で確認したいこと
• 進路の話をすると子どもが黙ってしまう理由
• 不登校の子どもの進路を選ぶときに大切な3つの視点
• 親子で進路を話し合う「家族会議」の進め方
不登校の中学3年生の進路選びで大切なのは、偏差値や学校名だけで進学先を決めるのではなく、お子さんが安心して過ごせる環境かどうかを考えることです。
もちろん、高校受験までの時間は限られています。保護者が早めに情報を集め、出願時期・募集要項・必要書類・学校説明会や個別相談の日程を確認しておくことは大切です。
一方で、保護者の焦りからお子さんの気持ちを置き去りにして進路を決めてしまうと、入学後に再びつらさを抱えるきっかけになることもあります。
まずは、毎日決まった時間に登校することが負担なのか、人間関係に不安があるのか、学習の遅れが不安なのか、心身の疲れが強いのかを整理してみましょう。必要な環境によって、全日制・定時制・通信制など合う進路は変わります。
不登校だからといって、将来の可能性がなくなるわけではありません。進路選びは、今の状態だけで将来を決めつけるのではなく、お子さんが自分らしく学び、生活できる道を探すことから始まります。
進路の話題を出した途端、お子さんが黙ってしまったり、部屋にこもってしまったりすることはありませんか。
保護者としては、高校受験が迫っているからこそ、早く進路を決めてほしいと思うものです。しかし、子どもが進路について話せないのは、逃げているからでも、やる気がないからでもないかもしれません。
本人も「高校に行けるのか」「内申点が足りないのでは」「同級生に会うのが怖い」など、多くの不安を抱えていることがあります。何を選べばよいかわからず、進路について考えること自体がつらくなっている場合もあります。
そこで大切になるのが、家庭を「安全基地」にすることです。安全基地とは、失敗したり、うまくいかなかったりしても、自分を受け入れてもらえると感じられる場所のことです。
「学校に行けていなくても、自分は大切にされている」「今すぐ答えを出せなくても大丈夫」と感じられることが、お子さんが次の一歩を考えるための土台になります。
進路について話すときも、いきなり「どこの高校に行きたいの?」と尋ねるより、生活の希望や負担感から聞いてみる方法があります。
• 「どんな毎日なら、少し楽に過ごせそう?」
• 「朝はゆっくりできる方がいい?」
• 「家で勉強するのと、学校で勉強するのでは、どちらが合いそう?」
• 「人が多い学校と少人数の環境なら、どちらが安心できそう?」
• 「今はまだ進路のことを考えるのがしんどい感じかな?」
学校名を決めることよりも、本人がどのような生活や学び方を望んでいるのかを知ることから始めてみましょう。無理に答えを引き出そうとせず、子どもが話せるタイミングを待つことも大切です。
不登校の中学3年生が高校進学を考える場合、全日制高校だけでなく、定時制高校や通信制高校、高等専修学校なども選択肢になります。通学頻度、授業時間、入試方法、サポート体制、卒業後の進路まで比べてみましょう。
一般的に平日の昼間に通学して学ぶ高校です。学校によっては、不登校経験のある生徒への配慮、面接や作文を重視した選考、自己申告書などを活用する場合があります。
出席日数や調査書・内申点の扱い、入試方法は都道府県や学校によって異なります。志望校の募集要項を確認し、学校説明会や個別相談で具体的な条件を確認しましょう。
定時制高校は、全日制とは異なる時間帯や学習形態で学べる高校です。少人数で学べる学校や、自分の生活リズムに合わせやすい学校もあります。
授業時間、登校日数、修業年限、単位の取り方は学校によって異なるため、通学負担も含めて確認しましょう。
通信制高校は、レポートなどの自宅学習、スクーリング、試験などを通して高校卒業を目指す学び方です。登校頻度や学習方法は学校によって大きく異なります。
毎日登校することが難しいお子さんにとって検討しやすい一方、レポート提出や学習計画など自己管理が必要になる場合があります。担任制、個別指導、オンライン学習、進学支援などのサポート体制も確認しましょう。
高等専修学校は、中学校卒業者を対象に、職業や実生活に結びついた専門的な知識・技能を学べる学校です。美容、調理、情報、福祉など、学校ごとに特色があります。
修業年限、卒業資格の扱い、大学入学資格に関する条件、卒業後の進路などは学校ごとに確認が必要です。
通信制高校に在籍しながら、サポート校でレポート作成や学習計画、生活面、進路相談などの支援を受ける方法があります。
サポート校そのものが高校卒業資格を出すわけではないため、提携する通信制高校、費用、支援内容、通学頻度を必ず確認しましょう。
中学在籍中は、フリースクールや教育支援センターなど学校外の学びの場を活用する選択肢もあります。一定の要件のもと、学校長の判断によって学校外での学習が出席扱いになる場合もあります。
高校受験に向けては、在籍中学校に、出席扱い・出席認定の扱い、学習状況をどのように記録・調査書へ反映できるかを早めに相談しておくと安心です。
心身の疲れが強く、進路について考えること自体が難しいお子さんもいます。その場合は、無理に結論を急がず、まず生活や心身を整えることを優先する考え方もあります。
ただし、中学卒業後の進路や高校入試には出願期限があるため、保護者だけでも中学校、教育相談機関、志望校などに問い合わせ、利用できる制度や手続きを確認しておきましょう。
お子さんが学校見学や説明会に行きたがらない場合は、まず保護者だけで情報を集めても構いません。
学校のパンフレットやウェブサイト、オンライン説明会などを活用し、「通学日数」「入試方法」「学費」「サポート体制」「進学・就職実績」「不登校経験者への支援」を比較しておきましょう。
進路の選択肢を知ることは、お子さんを急かすためではなく、将来について考えるときの安心材料を増やすことにつながります。
中学3年生の秋、Aさん(仮名)のお母さんは、進路について話すたびに部屋にこもってしまうお子さんに悩んでいました。
高校受験までの時間が限られていることもあり、お母さんは「早く進路を決めなければ」と焦っていました。
しかし、進路の話をするたびに親子の会話が減ってしまうため、思い切って、しばらく進路の話題を手放すことにしました。
その代わり、「おはよう」「ごはんおいしいね」といった日常の会話を大切にし、無理に答えを求めないようにしました。
すると数週間後、お子さんの方から「通信制ってどんなところ?」と尋ねてきたそうです。そこから親子でオンライン説明会を見て、少しずつ進路について考えられるようになりました。
これは一つの事例であり、すべてのお子さんが同じように動くわけではありません。大切なのは、子どもが話し始めたとき、その気持ちを受け止められる関係をつくっておくことです。
不登校の中学3年生の保護者が特に心配するのが、「出席日数」「内申点」「調査書」です。
「欠席が多いと高校受験で不利になるのでは?」「内申点が低いと進学できる高校がないのでは?」と不安になる方も多いでしょう。
実際の高校入試では、都道府県・学校・選抜方式によって、調査書、学力検査、面接、作文、志望理由書、自己申告書などの扱いが異なります。
文部科学省は、不登校経験のある生徒について、在籍校での出席状況だけを理由に不利益な扱いをしないことや、自己申告書、学校外の学び、家庭でのオンライン学習なども適切に考慮することが望ましいと示しています。
そのため、出席日数が少ないという理由だけで「高校には進学できない」と決めつける必要はありません。ただし、実際の選考ルールは各地域・各高校で異なるため、必ず最新の募集要項を確認しましょう
• 出席日数・欠席日数や欠席理由が選考でどのように扱われるか
• 調査書・内申点がどの程度重視されるか
• 学力検査、面接、作文、志望理由書などの配点や選考方法
• 不登校生徒向けの特別選抜・特例・自己申告書などがあるか
• フリースクール、教育支援センター、家庭でのオンライン学習など学校外の学習状況を資料として提出できるか
担任の先生、進路指導担当、スクールカウンセラー、教育委員会、志望校の個別相談などを活用して、一つずつ具体的に確認しましょう。漠然とした不安を「確認する項目」に変えることで、次にすることが見えやすくなります。
まず大切なのは、お子さんが安心して過ごせる環境かどうかです。通学の負担、人間関係、先生との距離、クラス人数、学習面で困ったときの相談先などを確認しましょう。
大人がよいと思う環境と、本人が安心できる環境が同じとは限りません。学校見学や個別相談では、本人の不安に近い具体的な場面をイメージして質問することが重要です。
毎日通学することが難しい場合でも、在宅学習、オンライン学習、登校日を選べる仕組み、少人数から始められる環境なら取り組みやすい可能性があります。
通信制高校でもレポート、スクーリング、試験などが必要です。「登校日数が少ないから大丈夫」だけで決めず、卒業までに必要な活動を具体的に確認しましょう。
高校入学だけでなく、その先の大学・専門学校進学、就職などについても確認しておくと安心です。
今の時点で将来の目標が決まっていなくても問題ありません。興味のあることを見つけたり、学びながら目標を考えたりできる環境かどうかも大切な判断材料です。
お子さんに進路について尋ねても、「まだ決められない」と答えることがあるかもしれません。
そのようなときは、「今はまだ決められないんだね」「決めたくなったら一緒に考えよう」と、今の気持ちを一度受け止めることも大切です。
保護者がすべての答えを用意する必要はありません。期限のある手続きは大人が整理しつつ、本人が自分のペースで選択肢を考えられるよう支えていきましょう。
ペアレンツキャンプでは、不登校支援のゴールを、単に学校へ戻ることだけとは考えていません。大切なのは、お子さんがその子らしく、自分の人生を生きていくことです。
進路選びも、誰かが決めた正解を探す作業ではありません。お子さん自身が、自分に合った生き方や学び方を見つけていくためのプロセスです。
そのために役立つのが、親子で気持ちを共有する「家族会議」です。
まずは、お子さんがどう感じているのかを聞いてみましょう。途中で意見を伝えたり、すぐに解決策を出したりせず、本人の言葉をそのまま受け止めることが大切です。進路について話したくない様子なら、無理に続ける必要はありません。
お子さんの気持ちを聞いたうえで、「受験のことが心配で、つい急かしてしまうんだ」のように、保護者自身の気持ちとして伝えてみましょう。子どもを責めるのではなく、親も悩みながら考えていることを共有します。
一度の話し合いですべてを決める必要はありません。「次は通信制高校について調べてみよう」「今週は親だけで個別相談の情報を集めてみよう」など、無理なくできることを一つ決めるだけでも十分です。
中学3年生の進路選びは、保護者にとっても大きなプレッシャーがかかる時期です。周りの家庭が受験に向けて動き始めると、焦りや不安を感じることもあるでしょう。
しかし、保護者が一人で悩みを抱え込み、無理を続ける必要はありません。学校の先生、スクールカウンセラー、教育相談機関、進路相談などを活用して情報や支援を得ることも大切です。
親御さん自身が安心できる時間を確保することは、お子さんを支える力にもつながります。
不登校の中学3年生の進路について、高校進学の選択肢や出席日数・内申点・調査書への向き合い方、学校選びの視点を紹介しました。
• 不登校の中学3年生にも、全日制・定時制・通信制高校、高等専修学校など複数の進路がある
• 出席日数・内申点・調査書の扱いは都道府県・学校・選抜方式によって異なる
• 自己申告書や不登校生徒への配慮、特別選抜などがある場合は早めに確認する
• 通信制高校はスクーリング・レポート・試験、サポート体制まで比較する
• 進路の話が難しいときは無理に答えを求めず、家庭を安心できる場所にする
• 学校選びは「安心して過ごせるか」「本人のペースに合うか」「卒業後の選択肢が広がるか」の3つの視点で考える
• 親子で話し合うときは、結論を急がず、次にすることを一つ決める
中学3年生という時期だからこそ、保護者としては焦りを感じることもあるでしょう。しかし、進路に唯一の正解があるわけではありません。
今すぐ将来を決められなくても、お子さんの可能性がなくなるわけではありません。まずは最新の募集要項や選抜制度を確認し、選択肢を知ったうえで、お子さんの気持ちを大切にしながら一緒に考えていきましょう。
お子さんの不登校や高校進学、進路選びでお悩みの方は、一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。
はい。全日制、定時制、通信制高校、高等専修学校など複数の選択肢があります。入試方法や調査書の扱いは学校・地域によって異なるため、早めに募集要項と個別相談で確認しましょう。
選抜方法によって異なります。文部科学省は、不登校生徒について出席状況だけを理由に不利益な扱いをしないことや、学校外・家庭での学習状況を考慮することが望ましいとしています。実際の扱いは志望校や都道府県の制度を確認してください。
内申点の比重は学校・選抜方式によって異なります。学力検査、面接、作文、志望理由書などを含めて総合的に選考する学校もあります。『内申が低い=進学できない』と決めつけず、志望校ごとに確認しましょう。
地域や学校によっては、不登校経験者に配慮した特別選抜や特例、自己申告書の提出などを設けている場合があります。教育委員会や志望校の最新の入試要項を確認してください。
一定の要件を満たし、在籍する中学校の校長が認めた場合に、学校外での活動やICTを活用した学習が出席扱いになることがあります。個別判断のため、中学校に早めに相談しましょう。
通信制高校は高校卒業資格を取得する学校です。サポート校は、通信制高校の学習や生活を補助する民間の支援機関で、通常はサポート校単独で高校卒業資格を出すものではありません。
佐々木信恵
ペアレンツキャンプ主任カウンセラー(保有資格:上級心理カウンセラー)
カウンセリング歴:10年にわたり不登校や子育てに悩む親御さんのカウンセリングを担当。これまでに300件以上の相談に対応。
「不登校は家族みんなで向き合うテーマ」という考えのもと、家庭を子どもの「安全基地」にするための関わり方や、家族会議を通じたコミュニケーションづくりを親御さんと一緒に考える支援を行っている。
お子さんの不登校や家庭での接し方にお悩みの方は、一人で抱え込まず、ペアレンツキャンプへご相談ください。