
不登校でゲームばかりの小学生へ|叱る前に知っておきたい理由と親の関わり方

「私の育て方が悪かったのでしょうか」「家庭環境に問題があったのかもしれない」。お子さんが学校に行きづらくなると、親として何かできなかったかと自分を責めてしまうことがあります。
最初にお伝えしたいのは、不登校は家庭環境だけで決まるものではなく、親だけに責任があるわけでもないということです。学校での人間関係、学習の負担、心身の不調、環境の変化など、背景は一人ひとり異なります。
文部科学省も、不登校は取り巻く環境によってどの子どもにも起こり得るものと捉え、本人と保護者の意思を尊重する支援を求めています。だからこそ、過去の子育てを責めるより、いま家庭で何を整えられるかに目を向けてみましょう。
不登校には学校・友人関係、学習、生活リズム、心身の状態、家庭での出来事など、さまざまな要因が関わります。同じ家庭で育ったきょうだいでも学校への感じ方は異なり、「家庭環境が同じなら結果も同じ」ではありません。
家庭内の緊張や対立がストレスに影響する場合はあります。ただし、それだけを理由に「親が原因」と結論づけることはできません。文部科学省の不登校要因に関する調査研究でも、本人・保護者と教師との間で認識が異なる場合が示されています。原因を一つに絞るより、子ども自身の困りごとを丁寧に確認する姿勢が重要です。
安全基地とは、困ったときに戻ってこられ、気持ちを受け止めてもらえると感じられる関係や場所のことです。これは「何でも許す」「必ず学校に戻す」という意味ではありません。安心感を土台に、本人が自分のペースで次の行動を考えられることが大切です。
学校についての話を一時的に減らすことは役立つ場合がありますが、いじめの訴えや強い不調を放置してよいということではありません。まず安全と健康を確かめ、必要な支援先とつながりながら、家庭の負担を調整しましょう。

「今日は行ける?」「宿題は終わった?」という声かけが続くと、本人は責められていると感じる場合があります。必要な連絡は短く確認し、それ以外の会話には学校と関係のない話題も取り入れましょう。
父母や祖父母で「休ませたい」「登校を促すべき」という考えが違うと、子どもが板挟みになることがあります。大人同士で共有する時間をつくり、本人の前で対応方針を言い争わない工夫が役立ちます。
将来への心配、仕事や家事との両立で、保護者も疲弊しやすくなります。親自身の休息や相談先を確保することは、家庭を整える重要な一歩です。
不安や緊張が長く続くと、集中や判断が難しくなる場合があります。「怠け」「甘え」と決めつけず、睡眠・食事・体調や学校での出来事も確かめてください。脳の特定の働きだけですべての不登校を説明できるわけではありません。
「今日は学校に行ける?」を毎朝繰り返す代わりに、「お昼は何が食べたい?」「最近見た動画、面白かった?」など、本人の好きな話題から始めてみましょう。会話を強要せず、隣で過ごすだけでも構いません。
試しに1〜2週間ほど、登校を迫る声かけを控えて様子を見る方法があります。ただし、学校との連絡や期限のある手続き、本人が望む学習・進路相談まで止める必要はありません。
保護者が一人ですべてを背負う必要はありません。お茶を飲む、家事を一つ減らす、信頼できる人に気持ちを話す。そうした小さな休息も大切です。学校の担任、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、教育支援センターなどにも相談することができます。

家族会議は、学校へ行く約束をさせたり結論を押しつけたりする場ではありません。「最近うれしかったこと」「いま困っていること」など、話しやすいテーマを短く共有する時間です。本人が参加したくない場合は、まず大人同士で方針を整理しましょう。

以下は一般的な相談場面を参考にした架空の事例であり、特定の家庭の実績を示すものではありません。
中学2年生の女の子がいる家庭では、母親が毎朝「今日は学校に行けそう?」と尋ねていました。しかし、こうしたやり取りが続くうちに、親子ともに疲れを感じるようになりました。そこで、登校について話すのは必要な場面にとどめ、夕食時には好きな音楽の話をするようにしました。また、母親自身も週に一度は休息の時間を確保することにしました。
このように関わり方を変えることで、子どもが自分から話す機会が増えることがあります。ただし同じ対応がすべての家庭に当てはまるわけではありません。焦らず、親子が安心して過ごせる時間を少しずつ増やしていくことが大切です。
ペアレンツキャンプでは、「時(生きた時代)」「地(育った地域)」「血(家族・家庭)」という視点から、親子の価値観の違いを考えます。これは同団体の支援における考え方であり、不登校の原因を科学的に特定する分類ではありません。
「学校は毎日通うもの」という親の経験と、子どもが今置かれている状況が異なることもあります。どちらかを一方的に否定せず、何に困っているかを理解しようとする対話が、安全基地づくりにつながります。学校への復帰だけでなく、本人が自分の将来を考えられるように支えることが目標です。
いじめ、強い不安、睡眠・食事の著しい変化、長引く心身の不調などがある場合は、家庭だけで抱え込まず、学校や教育委員会の相談窓口、医療機関などへ相談してください。自傷や希死念慮など安全に関わる兆候があるときは、緊急性に応じて速やかに専門機関へつないでください。
文部科学省のCOCOLOプランは、学校内外の多様な学びの場と相談体制を重視しています。教育支援センター、校内教育支援センター、フリースクールなども、地域の利用条件を確かめて検討できます。

完璧な家庭を目指す必要はありません。今日できることを一つ選び、子どものペースと家族自身の負担を大切にしながら、少しずつ環境を整えていきましょう。
お子さんの不登校や家庭での関わり方に悩んでいる方は、一人で抱え込まず、ペアレンツキャンプの相談窓口などもご活用ください。
A.家庭環境だけで決まるものではありません。学校の人間関係や学習の負担、心身の状態など、複数の要因を踏まえて考えることが大切です。
A.学校の話題を調整し、本人の好きな話や安心できる過ごし方を増やすことから始められます。健康面・安全面の気がかりは別途確認してください。
A.一律に避け続ける必要はありません。登校を迫る声かけは減らしつつ、本人が希望する話し合いや必要な学校連絡は続けましょう。
A.子どもの前で結論を争うのではなく、まず大人同士で不安や考えを整理し、共通の対応を検討するとよいでしょう。
A.無理に参加させず、短い日常会話や大人同士の話し合いから始めましょう。
文部科学省「令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果及びこれを踏まえた対応の充実について」 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422178_00006.htm
文部科学省「不登校対策(COCOLOプラン等)について」 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1397802_00005.htm
文部科学省「不登校の要因分析に関する調査研究」 https://www.mext.go.jp/content/20251120-mxt_jidou02-100002768_1.pdf
ペアレンツキャンプ主任カウンセラー(保有資格:上級心理カウンセラー)
カウンセリング歴:10年にわたり不登校や子育てに悩む親御さんのカウンセリングを担当。これまでに300件以上の相談に対応。
「不登校は家族みんなで向き合うテーマ」という考えのもと、家庭を子どもの「安全基地」にするための関わり方や、家族会議を通じたコミュニケーションづくりを親御さんと一緒に考える支援を行っている。
お子さんの不登校や家庭での接し方にお悩みの方は、一人で抱え込まず、ペアレンツキャンプへご相談ください。